はじめに:KYTって何だろう?
「危険を予知する」って、言葉では簡単に聞こえますが、実際にやろうとすると難しいものです。
特に新人さんにとっては「そんなの先輩たちがやればいいのでは?」と感じることも多いでしょう。
本記事では、そんな新人キャラ「メルちゃん🐶」が登場し、KYT(危険予知トレーニング)の意味や手順を学びながら成長していくストーリー仕立てで解説させていただきます。

KYTってなんだか難しそう…私にもできるのかな?
KYTとは?基本から理解しよう
KYTとは 危険予知トレーニング(Kiken Yochi Training) の略語です。
職場で起こりうる「危険」を事前に想定し、みんなで意見を出し合いながら「どんな事故が起こるか」「どう防ぐか」を考える取り組みのことを指します。
この活動の目的はただ一つ。
労働災害をゼロに近づけること です。
KYTの歴史
日本でKYTが広まり始めたのは1970年代になります。
労働災害が多発していた時代に「現場で働く人の意識を高めるにはどうすればいいか」という議論の中から生まれました。
「安全は作業手順やマニュアルだけでは守れない。働く人が自分の頭で考え、危険を予測できるようにならなければならない」という思想に基づいています。
事故が起きるのは「予測できなかった危険」から
たとえば工場では「機械に巻き込まれる事故」、建設現場では「高所からの転落」、介護の現場では「利用者を移動させる際の腰痛」など、さまざまな事故が起こります。
多くの事故は「ヒヤリハット」と呼ばれる小さな危険の積み重ねです。
統計によると、重大事故の背後には 29件の軽微な事故と300件のヒヤリハット が存在すると言われています(ハインリッヒの法則)。

ヒヤリハットって聞いたことあるけど…やっぱり見逃しちゃダメなのね!
KYTの基本手順「4ラウンド法」
KYTを効果的に進める方法として有名なのが 4ラウンド法 です。
ラウンド1:状況の把握
イラストや現場の写真を見ながら「どこに危険があるか」を全員で出し合います。
ラウンド2:本質の追求
出てきた危険要因の中から「一番大きな事故につながるものは何か」を絞り込みます。
ラウンド3:対策の検討
その危険を防ぐための具体的な対策を考えます。
ラウンド4:目標の設定
最後に、みんなで「今日の安全目標」を声に出して共有します。

声に出して目標を言うと、不思議と意識が高まるのね!
ストーリー:メルちゃんのKYT体験
ある日、工場に入ったばかりのメルちゃん。
作業を始めようとしたとき、先輩から「今日はKYTやるから一緒に」と声をかけられます。
最初は「そんなの難しそう…」と不安に思っていたメルちゃんですが、実際にやってみると、自分でも気づける危険があることに驚きます。
- 「床が濡れていて滑りそう」
- 「フォークリフトが近くを通っている」
- 「材料が積み上げられて不安定」
こうした気づきを仲間と共有することで、「事故は防げるんだ」と実感していきます。
業種別のKYT事例
製造業
- 機械に巻き込まれる危険
- 高温の蒸気によるやけど
- 部品や資材の落下
建設業
- 高所作業からの転落
- 足場の不安定さ
- 重機との接触
介護・医療
- ベッド移動時の腰痛
- 感染症リスク
- 利用者転倒の危険
サービス業
- 厨房での火傷
- 清掃時の転倒
- 接客中のクレームによる心理的ストレス
どの現場にも「特有の危険」がありますが、KYTは共通のフレームワークとして活用できるのです。
KYTをうまく回すコツ
- 誰でも意見を出せる雰囲気づくり
- イラストや写真を活用して視覚的に理解
- 短時間でサクッと実施(5〜10分程度)
- 終わったら必ず行動目標を決める
ネタがないと該当部署さんから相談があった際は、こちらからネタ提供するのもありですよ♪
実際に僕はそのような相談を受けた時は、AEDの取扱い方法をレクチャーしました(笑)
まとめ
KYT(危険予知トレーニング)は、事故を未然に防ぐためのシンプルで効果的な方法です。
新人のメルちゃんのように、最初は不安でもやってみれば誰でも参加できます。
「安全は誰かが守ってくれるものではなく、みんなで作り出すもの」
その意識を持つことこそが、職場をより安心できる場所に変えていきます。
あなたの職場でもKYTを実践してみましょう!
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